Home · Life · Article
— 暮らし · Life —
ベランダ菜園、四度目の春。
2026.04.054 分で読めるby 晩婚夫婦

四月になると、毎年ベランダが忙しくなる。
今年はバジル、ミニトマト、パセリ、そしてなんとなく買ってしまったレモングラス。鉢が増えるたびに「もうこれで最後」と思うのに、春になると手が動いてしまう。
種を撒いてから五日ほどで、バジルの双葉が土を押しあけて出てきた。毎年見ているのに、毎年「出た」と声に出してしまう。
命が始まる瞬間というのは、何度見ても、ちゃんと感動する。
植物を育てることは、時間の流れを体で感じること。忙しい日々のなかの、静かなリズム。
引っ越しのことを考えると、少し心が痛む。
鉢植えは持っていけない。誰かに譲るか、最後は庭のある友人の家に引き取ってもらうか。バジルは種を採っておいて、向こうでまた育てることができる。ミニトマトも同じかもしれない。
「種を持っていく」——それは、暮らしを持ち運ぶということだ。
このマンションに越してきたとき、ベランダはコンクリートだけだった。少しずつ鉢を増やして、いまは十二鉢。
ここを離れるとき、きっとこのベランダのことをいちばん惜しく思うだろう。そう予感している。